特集 診療報酬改定・96年4月を検証する
診療報酬からみた医療施設の機能分化
濃沼 信夫
1
1東北大学医学部病院管理学教室
pp.846-850
発行日 1996年9月1日
Published Date 1996/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901906
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はじめに
かって世界を席巻したわが国の経済的馬力は,世界最大の累積債務国への転落という事態に陥り,社会保障を支える国家財源の逼迫が深刻化している.薔薇色の老後が喧伝され,世界から羨望視された社会保障,とりわけ医療や年金の機能的な仕組みも,近年は制度疲労が顕在化し,その抜本改革が焦眉の政策課題となっている.こうした難しい時代にも,国民の命と健康を守る医療はその活動が停滞してはならないし,厳しい時代であるからこそ国民の幸福に直結する医療の役割は増大しているともいえる.
変貌を遂げる社会経済環境の中で,医療保険制度と診療報酬体系は起死回生の大改革が開始されようとしており,介護保険制度は生みの苦しみの中にあるといえる.未曾有の超高齢化社会の入口に立ち,今こそ長く険しい経済停滞をはねのける英知と才覚が求められているといえる.医療施設の機能分化は,医療制度改革の重要な柱に位置づけられており,医療連携,情報開示,資源節約など多くの付加価値を有するものであり,新しい医療を開く起爆剤ともいえる.
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