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はじめに
1950年以降,臨床検査は分析法の驚異的な進歩と自動化によって,医療の発展と病院経営に多大な貢献をなしてきた.そして,社会的には,検査が身近なものとして普及し,検査の大衆化が進んだ.このような社会状況のなか,国民医療費は増加の一途を辿り,2001年度のそれは31兆円を超え,医療費抑制が国家社会の重要課題となり,検査費の抑制も一段と激しい状況となった.
日本における登録衛生検査所(以下,検査センター)の発展は世界に類をみないが,企業間の過当競争が検査の低コスト化につながり,検査点数の引き下げに拍車をかけてきたことは否めない事実である.現在,病院検査部は,アウトソーシングのターゲットにさらされており,その波は高機能病院まで押し寄せている.佐守友博氏はこの現状を,“起こってはならない大規模高機能病院における検査部のアウトソーシングが起こり始めた”と警告し,“検査センターが踏み入れてはいけない領域に踏み入ったのか,あるいは病院検査室が手を離していけない領域を手放したのか”と将来を憂慮されている1).しかし,現実はそれ以上に混迷していた.国立大学医学部附属病院長会議常置委員会では「国立大学附属病院の医療提供機能強化を目指したマネージメント改革について(提言)」で,国の基幹病院である彼らの病院に「ブランチラボも検討するように」と提言したのである.愕然とせざるをえない.
現在保険適用の検体検査項目だけでも800種類以上に上る.現在の多種多様な臨床からの要望に応えるには院内検査だけでは不可能に近い.外注検査を活用しながら院内検査の充実を図り,臨床の要望に応えるということが本来の姿と思われる.
外注化のメリット・デメリットの判断は,病院の規模,病院経営者の方針(医療の選択),病院検査部が持つ力などによって判断が違ってくる.精度管理も十分できていない検査室や,検査件数がさほど多くない施設では,大手の検査センターに任せるほうが経済的にも精度的にもよい場合もある.このように,一律に論じられないので,本稿では,中~大規模病院を対象に外注検査のメリットとデメリットについて解説する.
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