私的病院運営のポイント
患者組織化のメリットと問題点
増子 忠道
1
1医療法人財団健和会柳原病院
pp.71-74
発行日 1977年8月1日
Published Date 1977/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206310
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患者増は歴史的な必然性
ここ10数年来多少の例外を除いて日本全体の病院を訪れる患者が急激に増加している.もちろんわが病院もその例外ではない.患者増自体は,地域における信頼度の反映という面からも経営的面からもむしろ歓迎すべきことではある.しかし患者増に対応する医師をはじめとする医療スタッフの数や設備拡充が十分うまくいっている病院は数少なく,結果的には日常の過密過重労働は全スタッフにのしかかっている.医師養成政策の立ち遅れ,看護教育等の貧困,診療報酬制度の不合理性からくる経営の不安定性,労働条件の悪化と人手不足の深刻化の悪循環など,その原因として分析することができる.だがそういう悪条件下でも個々の私的病院では,医療の質をどう向上させつつ患者増に対処するか工夫を重ねているはずである.
われわれの病院は,20年前患者住民の医療への強い期待を担いカンパや債券等によって診療所として発足し,その後の活動も住民に支えられて発展して,現在では,医師数15名,全スタッフ160名,病床91床,外来数1日230名の病院として活動している.発足以来患者・住民の自主的な援助の伝統もあり,意見や希望がどんどん病院に出されるチャンスにも恵まれていた.そのような雰囲気の中で当然患者増が大問題となり,その本質の分析と方針の検討を行ってきた.
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