特集 大学病院と関連病院との関係を問う
これからの医師の確保と大学病院
若手医師育成の一考察
中山 耕作
1
1総合病院聖隷浜松病院
pp.127-129
発行日 1996年2月1日
Published Date 1996/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901719
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教育技術の検討を
よく会社の人事担当の方などが,「優秀な大卒者を採っても,会社に入ったら教育のやり直しですよ.」と言っているのを聞く.これは,我が国の教育一般に言えることのようであるが,医学部においても,同様の感がある.医学部に入学する学生の能力は諸外国と比べても極めて高い.ところが,卒業時の臨床能力においては,総合的にみて勝っているとは言い難い.
これは私たち関連病院も含めた卒前卒後教育にも問題があると言える.明治以来,西洋医学が次々に紹介されて来る中,専門的な研究に比べ,教える,教えられるといったことに関する論議はあまりなされなかった.そのため,教え方の工夫という分野は,先端技術の応用努力には及ぶべくもない.義務教育においては,授業計画が徹底的に議論されている.また,Jリーグにおいても,名将と言われる外国人監督は,その指導方法の徹底した研究の成果で,選手の個性を導き出し,同じ選手を使いそれまでとは全く別のチームに仕上げていく.各大学においても,その独自性を活かしつつ,今以上に教育技術について検討される場が増えることを期待したい.
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