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関東地方も梅雨入りし,今春医学部に晴れて入学した新入生も大学に慣れてきたように思えます.彼ら彼女らが卒業する6年後には,是非とも山梨に残って地域医療や本学の発展のために若い力を注いでほしいと心から望みます.新臨床研修制度の影響で卒後母校の大学病院での研修を希望せず,大都市の病院で研修する若手医師が急増しました.その結果,派遣病院をやむなく限定して,地域整形外科医療を運営していかねばなりません.医学部としては,卒後も地域にとどまってもらうため,定員を増加し地域枠を設定して,出身県高校卒業生を対象とし卒後も母校にとどまることを前提とした選抜,あるいは他県出身でも母校にとどまることを条件に選抜する枠を作りました.しかし一方で,一般枠で入学してきた学生は,この選抜のために卒後母校を離れて大都市圏の病院で研修するという意識が返って高まったという批判も聞かれます.
2011年が明け,日本医師会は医学部教育と医師養成案を提言しました.これによると,医学部1~4年次には一般ではなく医学教養として医師としての資質に沿う教養課程を実施し,1年次から積極的に臨床医学の履修を進め,介護や福祉との連携を含んだ演習,見学実習,ボランティア活動を取り入れる.4年修了時にはCBT(computer based testing:コンピュータを使用した知識試験),OSCE(objective structured clinical examination:客観的臨床能力試験),臨床実習資格試験(面接試験)を行って,すべて合格したものに臨床実習免許を授与する.5~6年次には学生が参加できる臨床実習とし,卒業試験や医師国家試験には臨床実習の成果を問う問題に絞りこんで試験の負担を軽減する.卒後は,原則出身大学の都道府県で研修を行い,地域で8年かけて新人医師を育成する.初期臨床研修制度では1年次にはプライマリケアの獲得,2年次には専門としたい診療科のプライマリケアを中心に研修する.初期研修修了者は一般臨床医として認定する,という案です.この案が実現すれば,医師が地域に根付いて医師偏在解消の糸口となり,若手医師が地域に根差し医療を担ってくれることを目論んでいます.ベテラン弁護士の先生と話をする機会があり,その中で職業の自由という権利が新人医師を地域にとどめさせることができない壁の一つではないかとお聞きしたことがあります.先生は職業の自由というのはその前に公益に反しない限りという前提があるとおっしゃられました.
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