特集 病院職員の教育と研修
私の自己啓発法
私用の三つの道具に辿り着いた
賴本 節雄
1
1倉敷中央病院
pp.777-778
発行日 1995年8月1日
Published Date 1995/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901581
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当院の事務長に就任以来12年になる.最初の1年は前任者故鷹島保三郎事務長から手取足取のOJTを受けた.創設者大原孫三郎の直接の薫陶を受けた話,創立の精神の懇切な教育とそれを今日に活かすための実践心得,内外キーマンへの紹介とその人物評価,具体的事業計画—特に着想の在り方,日常の経営指導・管理活動—特に重要人事の意思決定と手続き—等々のたいへん貴重な勉強をさせてもらったのであった.当時はそれとは覚らず,むしろぼんやり普通の引継としてやりすごしたのではなかったか.
彼が私にすべてを譲って引退されて間もなく,シュムペーターの「経済発展の理論」上下(岩波文庫)を携えて来られ,私に言われたこと「やめたらいろいろゆっくり勉強しようと楽しみにしていたがそれができないことがわかった.病院経営に打ち込んでいたからこそ勉強もできたが,退職したら目標がなくて前向きのことが何もできない.TVばかりみているよ.その内落ち着いたら国内外旅行して廻ろうと思う.この本を貴君にあげるから読んでくれ.全頁読むことはない.ポイントだけでよい.これには新しいことをやるには組織を変革しないといかんということが書いてある.」—私自身昭和20年代にメーヨー派とバーナード・サイモン理論の勉強を通して一端の組織論学徒を自負していたから,この発言にはびっくりした.
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