主張
インフォームド・コンセントは患者から“与えられる”もの
Y
pp.529
発行日 1995年6月1日
Published Date 1995/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901524
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より人間的な温もりのある医療への希求を高めながら高齢化が本格的に進んできている.高齢社会になってはじめて見えてきたものは,社会のやさしさ,暖かさであろう.しかし,それへの実感が受けとめられるほど医療界での反応はそんなに速くはない.それは,今日のインフォームド・コンセントに象徴されるように言葉だけが先行していて,一向に日常の医療の場では真の意味でのインフォームド・コンセントが生かされていないことでも明らかである.
1994年度に行われた健保連でのアンケート調査によれば,診療に対する不満の第一の理由に,「病状や治療について十分説明してもらえなかった」ということが挙げられている.さらに,「十分な説明を受け納得した上で治療を受けるべきだと思う」という人が,各年齢層において60%を越えており,若年層になればなるほどこの傾向は著明となる.女性の20代では実に83%の人がそのように望んでいるという結果となっている.医療界でインフォームド・コンセントが日本生まれでない言葉だとか,わが国の風土になじまないからといっているうちに,実際の医療現場では日増しにその必要性が高まってきている.そして先のアンケート調査結果にあるように,受療する患者サイドからは容赦のない勢いでインフォームド・コンセントを迫ってきている.
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