厚生行政展望
患者情報の地域管理
厚生行政研究会
pp.486-487
発行日 1995年5月1日
Published Date 1995/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901514
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はじめに
再び,国民総背番号制の是非論議が始まろうとしている.前回は,といっても十年以上も前の論議であったが,プライバシー保護上の懸念が主たる理由で国民に総スカンを食らい,いつの間にか沙汰止みになってしまったのだが,今回は,構想の新聞発表時点では,前回ほどの国民的抵抗は見られていない.この十数年の間に情報化技術は格段の進歩を遂げ,プライバシー漏洩に関する危険性はむしろ高まっているというのに,国民サイドがむしろ寛容になってきているのはどういう訳であろうか.プライバシー情報の中でも,自分がどういう病気にかかり,どういう治療を受けているのか,といった患者情報は最も保護の必要性が高い情報のひとつである.国民総背番号制を背景に患者情報が無防備に流通することがないよう,医療関係者は,今回のこの動きに無関心であってはならないであろう.
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