現代病院長論
地域、住民に目を開き病院運営に生かす
今井 澄
1,2
1参議院
2諏訪中央病院
pp.638-643
発行日 1994年7月1日
Published Date 1994/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901277
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諏訪中央病院は標高約800mの八ヶ岳連峰の麓,人口約5万人の茅野市の郊外にあります.昭和61年に現在地に新築移転しました.病床数200の総合病院で,5階建て延べ床面積は1万1,000m2で,敷地は1万8千坪ほどです.自治体病院では1床当たり55m2が基準(当時)ですので,ほぼそれを満たしている平均的病院です.現在,90床の特別養護老人ホームを隣接地に建設中で,別の場所にある養護老人ホームも移転してくる予定です.2年前に50床の老人保健施設をつくりました(注).
新築に当たり,3階建て以下の低層にしようと考えました.神戸市立中央市民病院では,患者が急変すると5分以内でスタッフが駆け付けられる構造だと聞いていました.機能的には高層がいいかとも思いましたが,肉体的に非常に辛く精神的に不安定な状態で入院している患者さんたちが,都会の病院ならともかく,田舎で普段は地べたにはいつくばるような生活をしているのに,寝室のベッドから空しか見えないようでは患者さんの入院環境という意味でも,防災上もよくないのではないか,と疑問を持ちました.そこで,機能的には落ちるけれども低層化したほうが患者さんにとっていいのではないかと考えたのです.
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