小特集 中小規摸病院の運営
茨戸病院の運営と地域活動
稲見 研二
1
1医療法人恵愛会茨戸病院
pp.840-842
発行日 1981年10月1日
Published Date 1981/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207578
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医療をとりまく環境■
1970年代半ばの石油ショック以来,発展を続けていた日本経済の歩みは止まり,将来を展望する手立てを持たぬまま低成長期に入った.医療が日本経済の受けた打撃と無関係に存在するはずがなく,医療界はこれまでの常識を覆えす混乱の時代に入り,不透明時代の第一歩が始まった.明治以来"自由開業医制"をもとに,発展を続けてきた医療の世界は,経済界同様,安定性のある展望は何ひとつ持ち得ない状況に陥った.
かくして医療は,これまで体験したことのない環境の中で,その役目を担っていくという厳しい立場に追い落とされた.時あたかも医療費高騰という世界的な傾向は,我が国にも及び,国民総医療費の伸びは,GNPの伸びをはるかに凌駕し,急速に大きく成長した.もはや,日本経済を左右するほどの"財"として医療が存在し,いやが上にも厳しい社会の掟の前に引き出されることになった.経済的展望のない現実の社会の中で,なおかつ,一貫した医療政策の見られない現状では,医療はいかようにもころがりかねないのが現実であり,将来であることを認識すべきであろう.
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