特集 揺れる基準看護
[研究報告]看護婦の傾斜配置を考える—病棟編成の方法と患者指導の効果について
島田 陽子
1
1東京医科歯科大学医学部附属病院
pp.359-363
発行日 1994年4月1日
Published Date 1994/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901208
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はじめに
PPC (Progressive Patient Care)方式(段階的看護ケア方式)とは,医療施設の機能を最大限効果的に発揮するための研究や試みが盛んであった1950年代のアメリカ合衆国で,患者中心の看護を行うために導き出されたものである.この方式は,個々の患者の医療ニーズを中心に据え,病院の全機能を組織的かつ計画的に再編成して,ニーズにより適したサービスを提供するものであり,そればかりでなく医療経済の効率化にも寄与する仕組みであるとされている1).
一方,我が国では疾病構造が変化し,慢性疾患が増加しており,完全な治癒をみずにひとつあるいはいくつかの疾患を有して日常生活を送る者が増加している.また,近年の医療費抑制政策の中で,医療施設への入院期間は短縮化を迫られており,入院中に行われる検査や治療などは,集中的かつ効率的に行われることが求められている.このような状況の中では,看護婦が行う入院時指導や手術・検査前指導などをはじめとする「患者指導」は極めて重要な意味をもち,看護婦の果たさなければならない役割としてクローズアップされてきている.患者の入院生活や検査,治療がスムーズに行われるかどうかは「患者指導」にかかっているといっても過言ではない.
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