特集 揺れる基準看護
これまでの基準看護とこれからの基準看護
川島 みどり
1
1健和会臨床看護学研究所
pp.322-324
発行日 1994年4月1日
Published Date 1994/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901201
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基準看護を取っていない病院で
暮れも押しつまったある夜,地域の忘年会の席でその老夫人は転倒した.蕎麦の汁がこぼれて,布巾を取ろうと立ち上がりかけ,足がもつれて転倒したとのこと.痛くて身動きできぬ様子との知人の電話.手に負えないので救急車を呼び同乗する.心当たりの病院名を幾つか挙げてみたが,すべて今夜は急患の受け入れはできないとの由.
担ぎ込まれた病院は私鉄沿線の個人病院.救急室で診察に当たった医師は,某大学からのアルバイトらしい研修医と見た.レントゲン検査の結果は想像通り大腿骨頸部骨折で入院ということになった.電灯もついていない深夜の病室は,気配で多床室と察せられる.暗闇を手探るようにしながら,夫人をベッドに移しながら目を凝らしてみると,床にごろごろと横たわっている人が何人かいる.付添いの人達のようだ.
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