今日の視点
基準看護の現状と問題点—特二類基準看護病院におけるケアのバラツキ
川島 みどり
1
Midori KAWASHIMA
1
1みさと健和病院
pp.201-206
発行日 1988年3月1日
Published Date 1988/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209245
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基準看護をめぐる問題についての認識
基準看護の功罪についてはこれまでもしばしば論じられて来た.しかし,社会保険診療報酬制度の一環としてのこの制度は,必要な看護要員数を満たしさえすれば,入院費の加算を認めようとするものであり,医療施設側にしてみれば,多少の矛盾があっても,その承認を得ることによる経営上の魅力もあるに違いない.だからこそ,法の目をくぐってでも不正な請求をして,摘発されるというケースが後を断たないのであろう.
また,基準看護病院数は約30パーセントというが,病床数で60パーセントを越えている.このことは,ベッド数が多くどちらかといえば,「大きな病院」が基準看護をとっている場合が多いことを示している.大きいことが「いい病院」に通じないにしても,結果的には設備・人員ともに基準に叶う必要があるのだから,医療や看護の質も,一定の水準にあると評価される.つまり,基準看護を標榜することにより,病院の格づけを高めることにも一役買っているということになろう.しかし,その評価も,利用者側からの評価ではなく,医療や看護のスタッフ間での評価にほかならない.
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