主張
雇用を吸収できる産業
I
pp.113
発行日 1994年2月1日
Published Date 1994/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901150
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看護婦が不足していることが医療の現場だけの問題ではなく,社会問題として認識されはじめてからまだそれほど時間は経っていない.その後,看護婦(士),薬剤師等が医療の担い手として医師,歯科医師に加えて医療法に位置付けられたことは当然のことであり,更に,未だ不充分ではあるが3K,10Kともいわれてきた職場環境の改善や看護業務の見直しが図られ,その結果,多少なりともその不足感が緩和されてきたことは喜ばしいことである.ただ,看護婦の社会的地位の向上は長い間の懸案でありまだ当分時間はかかりそうである.また平成に入って生まれる子供の数が毎年120万人程であることを考えるとまだまだ問題は解決されたとは思えない.
しかし,足りなかったのは何も看護職だけではなく,病院医療を運営していくために必要な人員は各職種にまたがりゆとりがあると言い難いことは,今日もそれほど変わってはいない.厚生省のマンパワー(人的資源)対策本部の報告によれば日本で現在医療と福祉をあわせて従事している人の数は約230万人であり,今後の急速な高齢化に伴い2001年にはこの数は350万人必要であるとされている.350万人という数字でさえ欧米に比べれば実に貧弱なものであるが,現在のこの数は我が国の総労働人口の約3.5パーセントに当たりそれに対してその生産規模は国内総生産対比約6.5パーセントに過ぎない.
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