勤務医からの発言
病院の求める医師—プライマリ・ケアのできる専門医
福間 誠之
1
Seishi FUKUMA
1
1京都第一赤十字病院脳神経外科
pp.59
発行日 1991年1月1日
Published Date 1991/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900838
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医師の原点
最近の医学部を卒業した若い医師の傾向として,卒業直後から専門医になることを目指して,幅広い卒後臨床研修を希望しないようであるが,医学部の臨床教育の現状を見聞きすると,これでこれからの医療を担う医師が養成できるのか危惧する.
21世紀の医療はさらに細分化され,高度化すると予測されるが,そのような時こそ医療の原点ともいえるプライマリ・ケア(患者に初めて接する初期診療から,全人的医療やターミナルケアまでの継続医療も含む)ができる医師が必要であると考える.大学病院以外の一般総合病院での夜間や休日の当直は内科系と外科系の医師が一人ずつ担当して,専門分化した科の医師が当直することもあり,この時,専門外の患者が時間外に受診すると対応に困ることがある.医師は国家試験に合格して免許証が与えられ,医療に携わることを法律的に許されているので,どのような患者がきても,医師としてできる範囲のことはしなければならない.自分の手に負えないような患者は,適切な専門医に紹介すればよいのであって,まず,患者の問題は何であるか判断ができなければならない.
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