特集 病院のパラダイムシフト
[座談会]病院に求められる発想の転換
中山 耕作
1
,
海北 幸男
2
,
柳澤 忠
3
,
川渕 孝一
4
,
川島 みどり
5
Kousaku NAKAYAMA
1
,
Yukio KAIHOKU
2
,
Makoto YANAGISAWA
3
,
Koichi KAWABUCHI
4
,
Midori KAWASHIMA
5
1総合病院聖隷浜松病院
2医療法人きっこう会事務局
3名古屋大学工学部建築学科
4国立医療・病院管理研究所医療経済研究部
5健和会臨床看護学研究所
pp.44-52
発行日 1991年1月1日
Published Date 1991/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900836
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問題提起(川島) 先だって,ある社会学者とお話しをしていて,医療について次のような疑問を投げかけられました.病院はどんどん巨大化しているが,その巨大な病院は一体何をしているのか,患者さんの健康へのモチベーションが高まっているにもかかわらず,それを利用していないのはなぜか,セルフコントロールしたり,ライフスタイルを変えればかなり長生きできる慢性疾患患者が緩解と増悪を繰り返しながら死んでいくのはなぜか,それも医者や看護婦が一生懸命頑張っているにもかかわらず,そんな状態が続いてるのはどうしてなのか,病院の医療スタイルはどうして変わらないのかというわけです.
もう1つ似たようなエピソードがありました.特別養護老人ホームの寮母さん,生活指導員,福祉関係の方がたくさんいらっしゃっているシンポジウムに,私は病院の看護を代表して出席させていただきました.そこでは病院の看護婦が大変悪者にされまして,お年寄りが寝たきりになって,おむつを当てられ,留置カテーテルが入っていて,そして褥瘡をつくって病院から特養に入ってくるようでどうするんだ,ということで,かなり攻撃の的にされたわけです.そんな病院の看護婦に対する厳しい目は,福祉から医療に投げかけられたものでは決してなく,患者さんの代表というか,国民の厳しい声として受けとめなくてはいけない,と思ったわけです.
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