特別寄稿
看護システムと医療管理(上)
宇都 由美子
1
,
熊本 一朗
1
,
朝倉 哲彦
1
Yumiko UTO
1
,
Ichiro KUMAMOTO
1
,
Tetsuhiko ASAKURA
1
1鹿児島大学医学部附属病院医療情報部
pp.603-607
発行日 1990年7月1日
Published Date 1990/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900689
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はじめに
鹿児島大学医学部附属病院が,病院の近代化と患者サービスの充実・発展を期して,大型汎用コンピュータを導入し新しい病院運営の開発に着手して以来,すでに6年余りの歳月が経過した.本院では,診療現場において医師・看護婦らが端末を用い,発生源で情報の入出力を行う独自の運用形態をオーダリングシステムとよび,それによる病院全体におよぶトータルなシステム化を鹿児島大学総合病院情報システム(Total Hospital Information System of Kagoshima University),通称(愛称) THINKと称している.
オーダリングシステムによる総合病院情報システムの開発・導入は今でこそ珍しくなくなったが,鹿児島大学がシステム開発に着手し始めた1983年頃は,一部の人々から「自殺行為」と懸念されるほど大きな危険を伴う冒険的行為であった.当時の病院におけるコンピュータ利用は医事会計を中心とした限られたものであったが,オーダリングシステムに類する総合病院情報システムの開発に先駆的に取り組んでいた病院がなかったわけではない.しかし,そのほとんどが,病院の新規開設や新病院建設の機会を利用してシステム導入を図ったもので,本院のように,既存の古い建物と伝統的病院運営が存在していたところに,新しいコンピュータシステムを導入した例は珍しかった.
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