特集 中小病院サバイバル
現代中小病院論
梅里 良正
1
Yoshimasa UMESATO
1
1日本大学医学部病院管理学教室
pp.114-117
発行日 1990年2月1日
Published Date 1990/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900565
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はじめに
昭和62年のわが国の病院9,841施設(昭和63年では10,034施設)のうち,病床規模が300床を超える施設は全体の15%にみたず,その大部分は中・小規模の施設となっている.大学附属病院や公的な総合病院などは,設立の当初から比較的大きな病床規模で計画が進められることが多く,医療機器・設備面においてもしかるべく整備がなされる.これに比べ,私的な開設者によって,徐々に病床規模の拡張がなされ,現在に至っているような施設においては,近年の患者のみならず医療従事者をも含めた,大病院志向の強まる中で,次第に長期収容傾向の強い患者へのシフトを余儀なくされるケースも見られるようになっている.
しかしながら,前述のように,大規模病院の施設数は少なく,これらの施設のみで住民の急性期の医療需要に応じていくには,医療へのアクセッシビリティの側面からは,決して満足な結果が得られるとは考えられない.むしろ,急性期の医療応需においては,慢性疾患を対象とした長期収容型の医療提供に比べ,病床規模はそれほど大きくなくとも,地域に適切に配置されていることが重要視されるべきであるとも考えられる.
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