特別寄稿
老人外来医療における学際的総合評価—Michigan大学Turner Clinicでの方法
キャンベル ルース
1
,
前田 満寿美
Ruth CAMPBELL
1
,
Masumi MAEDA
1ミシガン大学ターナークリニック
pp.1010-1015
発行日 1992年11月1日
Published Date 1992/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900227
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はじめに
ターナー老人医療クリニックは,ミシガン大学メディカルセンターの一部門として約2,500人の患者に外来診療を提供している.ここでの診療には,多面的に患者を把握するために学際的チームによる専門的総合評価方法(multidisciplinary assess-ment procedure)が採用されており,プライマリーケアの中で長期的な患者のフォローアップや患者のニーズの変化に応じた治療計画の調整が可能になっている.専門的総合評価は,入院,外来において,病弱な老人や重複障害のある老人を包括的に評価することを目指し,地域での在宅療養の継続を支援し,時期尚早な施設入所を防ぐことに役立ってきた.しかし外来診療所こそ,一般老人には健康教育や健康増進を,慢性障害をもつ老人には医療ケアと社会的支援を,より重度の障害をもつ老人には評価と治療を提供できる理想的な場である(Martin et al 1985).ターナーでは地域に出張して行う広範囲な活動に力を入れており,訓練を受けたボランティアや大学生の援助を受けながら,地域の諸機関と密接な連携をとっている.このように,クリニックの機能は単に評価と治療に終わらず,地域における対象老人患者の発見やケース・マネジメント,サポートネットワークづくりへと拡大されている.
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