連載 ケースレポート
地域医療構想と病院・56
高齢社会の医療介護連携を支える医療介護複合体の役割—済生会唐津医療福祉センター
松田 晋哉
1
1産業医科大学医学部公衆衛生学教室
pp.1104-1108
発行日 2023年12月1日
Published Date 2023/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541212080
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■はじめに
これまで折に触れて述べてきたように,高齢社会においては医療介護生活の複合ニーズを持った患者が増加する1).対象者のニーズが複合化している以上,サービス提供者側も複合的なサービス提供体制を整備する必要がある.もちろん,その対応方法は同一法人で複合体を形成する場合もあれば,異なる事業体が地域医療連携推進法人やアライアンスを形成して対応する場合もある.どのようなシステムを選択するかは,それぞれの地域の状況による.ただし,これは全くの私見であるが,医療介護資源および人的資源に制約のある地方では地域医療連携推進法人の形成が,そして都市部では市場主義的なM&Aによって,上記のような連携体制の構築が進みつつあるように見える.
今回紹介する済生会唐津病院は,佐賀県唐津市において急性期病院を中核とした医療介護複合体を形成し(済生会唐津医療福祉センター),高いパフォーマンスを上げている施設である.筆者は今から23年前に医療ニーズの高い患者の在宅ケアを可能にする条件を研究するために,全国の済生会組織の協力を得て,症例を収集し,その事例分析を行った経験がある2).この研究を行った当時から,済生会唐津病院は済生会三条病院,済生会今治病院,済生会山口総合病院などと並んで,医療ニーズの高い在宅患者のケアを支える複合体組織として顕著な成績を上げていた.そして,同病院は園田孝志院長のリーダーシップの下,さらに複合体としての機能を向上させている.本稿では,同病院の連携に関する取り組みについて焦点を当て報告紹介したい.
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