連載 病院管理フォーラム
事務長の病院マネジメントの課題 急性期病院の立場から・18
急性期病院の連携「保健,医療,福祉の複合体」
佐合 茂樹
1
1特定医療法人厚生会木沢記念病院総合企画部
pp.766-768
発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100684
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ダウンサイジングと適正病床数
急性期病院として機能していくためには,地域における連携機能の推進と病床の回転率の向上,特に紹介率向上と平均在院日数短縮が課題であることは,自院の例を紹介して前号で述べた.病院が急性期入院加算を目指して平均在院日数の短縮を図るには,急性期疾患の患者収容,とりわけ検査や手術を必要とする患者収容の比率を増す必要があり,人員も設備もそれに対応できるだけの重装備が必要とされる.言い換えれば,人員の確保と近代的な設備が整わなければ急性期病院を目指すことは難しいということになる.そして今後においても,施設基準としての平均在院日数の条件がさらに短くなることを予測すると,さらに病床回転率の上昇が求められ,以前に増して空床が発生することになる.また,1 病床当たりのスペースの確保や療養環境の整備を併行して進めていくと,当然の結果として病床のダウンサイジングを迫られることになる.しかし,ダウンサイジングは,程度によっては病院経営が成り立たなくなる結果を招くことから,自院の適正病床を見極めるといった新たな問題が発生する.
病院機能特化は,自院のみに課せられた課題ではない.したがってこの段階で発生する適正病床の見極めについては,診療圏内の病床の動向も注意する必要がある.急性期病院から慢性期病院に転換する病院や,病棟を閉鎖して診療所として機能する例など,地域全体でのダウンサイジングが進行すると,収容患者の動向に変化が生じることも考慮しなければならない.急性期病院としての機能特化と地域内における病院のダウンサイジングは,まさに急性期病院の「生き残り」と称される現象そのものである.
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