連載 医療機関で起きる法的トラブルへの対処法・30
本連載第17回「トランスジェンダーの職員への合理的配慮」への補足
トランスジェンダーの職員によるトイレの使用—経済産業省事件の最高裁判決を受けて
髙橋 直子
1
1弁護士法人 色川法律事務所
pp.917-918
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541212037
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■女性トイレの使用制限に関する人事院の判断は違法
「医療機関で起きる法的トラブルへの対処法第17回 トランスジェンダーの職員への合理的配慮」(病院81:816-820,2022)でご紹介した経済産業省事件について,2023年7月11日,最高裁判決が出ました.
事件の概要は,以下のとおりです.経済産業省(経産省)で勤務する国家公務員の原告は,生物学的には男性であるが,性同一性障害との医師の診断を受け,女性として生活するようになり(性別適合手術を受けておらず,戸籍上は男性),2009年7月に職場でも女性として勤務したいと希望を出しました.経産省は,原告の承諾を得て職場で説明会を開き,その内容を踏まえて,2010年7月,原告に対して,「執務している階とその上下の階の女性トイレの使用は認めず,それ以外の階の女性トイレの使用を認める」という処遇を開始しました.2013年12月,原告が人事院に処遇の改善(全ての階の女性トイレの使用の許可)を求めたところ,2015年5月,人事院はそれを認めない(本件処遇を継続する)という判定をしたので,原告が人事院の判定の取り消しを求めたのが本件です.
第17回「トランスジェンダーの職員への合理的配慮」の記事はこちら
https://doi.org/10.11477/mf.1541211767
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