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■はじめに:成和会西新井病院の概要1)
東京都足立区にある医療法人社団成和会(以下,成和会)は,1953年に開院した西新井病院を中核に地域の急性期医療から介護,そして在宅ケアを支える医療介護複合体である.現在の理事長は創立者である金萬有のご子息である金光宇氏である.金理事長はもともと心臓外科医であるが,その後さまざまな臨床経験を積み,現在は特に糖尿病の診療およびその予防活動に積極的に取り組んでいる.
中核病院の西新井病院は内科,外科,脳神経外科,耳鼻咽喉科,眼科,歯科口腔外科,泌尿器科,麻酔科を標榜するケアミックス病院で,一般病床が150床,療養病床が46床の合計196床となっている.関連施設としては,成和クリニックとにしあらい生活習慣病クリニックの2つのサテライトクリニック,介護老人保健施設むくげのいえ,そして教育機関として西新井看護専門学校がある.2010年に西新井ハートセンター病院を創設していたが,医師の派遣元である東京女子医科大学の人事および地域の傷病構造の変化を踏まえて,2022年3月に同センターを閉鎖し,現在は西新井ハートセントラルクリニック(無床)として活用している.
足立区は東京電機大学が移転してきたりマンションの建設などの開発が進む北千住地域があり,そこに若い人口が流入する一方で,西新井,竹ノ塚地区には古くそして大規模な都営住宅群があり,そこでは高齢化が進むというように,対照的な人口動態を示す地域が存在している.西新井病院は後者の地域の地域包括ケアを支える病院であり,近年,このような人口構造の変化に対応した機能の再編成を行っている.都市部の中小民間病院の今後を考える上で参考になる事例であると考え,本稿で紹介する.
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