特集 ポストコロナを見据えた公立・公的病院と民間病院の役割分担
総論
「公立・公的病院」対「民間病院」という構図をめぐって
田中 滋
1,2
1埼玉県立大学
2慶應義塾大学
キーワード:
歴史と文化
,
公民提供者の併存
,
経営者の決意と意欲
,
公益性
,
営利と非営利
Keyword:
歴史と文化
,
公民提供者の併存
,
経営者の決意と意欲
,
公益性
,
営利と非営利
pp.294-297
発行日 2022年4月1日
Published Date 2022/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211653
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■医学・医療技術は普遍的 vs. 受療方法や医療提供体制・財源は多様
科学技術は文化の差異を超えて伝播できる.情報システム機器の操作方法,人工衛星画像の送受信手段,ECMO(体外式膜型人工肺)による生命維持法等々は,日本であれ,アメリカ合衆国や中華人民共和国であれ,ほとんど変わらないだろう.脳梗塞を起こした人にt-PAを何分以内に静注するかに関わる医学的判断にも,mRNAワクチンの筋肉注射手技にも,文化はまず関係しない.
一方,情報システム機器や衛星画像利用の普及具合と,それを「誰が何のために使っているか」については,各国の政治体制や経済発展度合いなどによってさまざまと思われる.医療分野について言えば,下のa.〜e.に例示したような事柄に関わる体制と,そこに至るまでの政策形成過程は,当該社会の歴史と文化・民情を色濃く反映し,国や地域ごとに全く異なっている.
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