特集 大学病院は地域病院を支えられるか
地域医療問題—地域医療構想策定下の地域病院と大学病院の関係
地域医療構想で医学部・大学病院が果たすべき役割
村上 正泰
1
1山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座
キーワード:
地域医療構想
,
大学病院
,
地域連携
,
医師の適正配置
Keyword:
地域医療構想
,
大学病院
,
地域連携
,
医師の適正配置
pp.131-134
発行日 2021年2月1日
Published Date 2021/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211361
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■大学病院に求められる機能明確化と連携強化
大学病院本院は,そのほとんどが特定機能病院に指定されており,それ以外の病院では通常提供が困難な診療を含め,最先端の専門的な診療機能を有している.そして,各都道府県に必ず1病院以上は存在しており,それぞれの地域で高い医療水準を確保する上での「最後の砦」として機能している.
しかし,大学病院にも比較的軽度な患者が入院している場合がある.また,人口の高齢化が急速に進む中で,大学病院でも入院患者の高齢化が顕著であり,転院や在宅療養への移行の調整に時間を要すると,入院期間が長期化しがちになる.しかも,少子高齢化・人口減少が深刻な地方においては,診療密度の高い典型的な急性期患者数は頭打ちから減少局面に入りつつあるが,大学病院と他の大規模急性期病院が競合し,患者を「奪い合っている」場合も少なくない.これらは大学病院の経営にとっても頭の痛い問題となる.
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