特集 病院建築の潮流
巻頭言
伊関 友伸
1
1城西大学経営学部
pp.193
発行日 2020年3月1日
Published Date 2020/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211148
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医療をめぐる環境が変わる中で病院建築のあり方も変化してきている.病院が,医療の高度・専門化,機能分化,地域連携など新しい課題に対応していくためには,病院建物に求められる機能も変化を迫られる.患者の療養環境に求められる水準も変化してきている.例えば,欧米と比較したわが国の病院建物の特徴として,病室の面積の狭さがある.わが国では多床室が中心であるが,世界的に見ると,米国建築ガイドラインでは病室は個室と決められ,アジアでもJCI認証を取得している病院は個室が主流である.個室は患者アメニティ確保,感染症リスク軽減,性別を問わずに入室可能など利点も多いことが理由となっている.
また,わが国において喫緊の課題となっている地域医療構想に基づく病院の統合再編の動きは,病院建物の建て替えや改修を契機とすることが多い.建物が老朽化し,耐震性や医療提供上の問題などから建て替えを迫られている病院も少なくないからだ.
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