連載 医療現場の「働き方改革」 医療の質を担保しつつ労働負荷を低減させる方法・2
医師の時間外労働の上限規制
福島 通子
1
,
羽兼 朋宏
1
1塩原公認会計士事務所
pp.164-169
発行日 2020年2月1日
Published Date 2020/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211140
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今般の働き方改革では,「長時間労働の是正」が改革の主要なテーマとなっている.政府は,その目標を達成すべく労働基準法(以下,労基法)を改正し,時間外労働に罰則付きの上限規制を設けた.これまでは,労使の合意があれば,いわば無制限に時間外労働が合法化されていた.これに制限が加わったことは画期的な改正であると同時に,労働力の確保が難しい業界にとっては非常に厳しい試練ともいえる.これまでと同じ働き方では違反となる.よって,十分ではない人員をどのように働かせることが最も効果的なのか,不足する労働力を補うためにはどうしたらよいのか,真剣に考えなければならない.
医療業界も例外ではない.時間外労働の上限規制については2019年4月(中小医療機関については2020年4月)より医師以外の一般医療従事者への適用が開始された.医師への適用は,医師の診療業務の特殊性や地域医療の実情などを考慮し5年間の猶予が設けられた.しかし,医師が置かれている過酷な労働環境を鑑みれば,応召義務を理由にした際限のない長時間労働の是正など取り組むべき課題は山積しており,早急な改革が求められることは言うまでもない.
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