グラフ
震災後の気仙沼で
船元 康子
pp.481-484
発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101988
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今回,私は2年前に本誌で取材をした「浅草病院」の本田徹医師が,東日本大震災で被災した気仙沼市に,国際保健NGO「シェア」の一員として「気仙沼市巡回療養支援隊」に参加することを聞き,また同行取材をお願いしたのである.本田医師はシェアの代表理事も務めていて「短期間ではなく長期にわたって,交通が不便,障害者などで病院受診ができない人や,在宅で介護を受けていた患者に訪問診療で関わっていきたい」と話す.4月5日,本田氏と初めての気仙沼市内で合流した.
本田医師の訪問診療では,地元の「南三陸訪問看護ステーション」の松岡直子看護師が車を運転し,4件の訪問診療に同行した.ほとんどが寝たきりの高齢者であり,介護する人も高齢者であった.断水,停電となり,電動ベッドが半座位のままで使えなくなったり,エアマットが使えないために震災後に褥創ができたり,創が悪化した患者がほとんどだった.地震の揺れやテレビで見た自分の町の被災映像による精神的ショックも大きいようで,以前は松岡看護師に毎回,笑顔で挨拶をしていたという患者が,何も言葉を発さなくなってしまっていた.
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