特集 病院の生産性とは何か
巻頭言
今村 英仁
1
1公益財団法人慈愛会
pp.839
発行日 2017年11月1日
Published Date 2017/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210579
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今回の特集では,病院における生産性を取り上げた.そもそも医療の世界で「生産性」を論ずることが可能か,もしくは適切かという疑問を抱く医療関係者も多いだろう.例えば,ある会合で,厚生行政に長年携わっている国会議員である医師が(アベノミクスの成長戦略では生産性向上が掲げられてはいるが)「医療の世界に生産性という概念を持ち込むのは慎重でなければならない」と発言しておられた.
翻って病院現場では,7:1看護配置基準の要件の厳格化,重症度,医療・介護必要度の基準の引き上げ,回復期リハビリテーション病棟におけるアウトカム評価の導入,療養病床における医療区分の見直しといった制度改革に加え,生産年齢人口減少による医療人材不足に直面している.その結果,限られた医療資源で一人でも多くの患者にサービスを提供することが求められている.これを「生産性向上」の要請とみなすのであれば,病院の現場は,すでに生産性向上の渦中に巻き込まれているのではないだろうか.そうであるならば,今こそ病院は生産性と対峙しなくてはいけないのではないか.
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