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■病院の概要1)
あさかホスピタルグループは医療法人安積保養園を中心に,知的障害や発達障害を持つ子どもの就学前の療育支援から,成人後の地域生活や就労支援という幅広いサービス提供を行っている社会福祉法人安積愛育園,2つの特別養護老人ホームと有料老人ホームを運営している社会福祉法人安積福祉会,そしてデイケア,訪問看護と連携して精神障害者への生活支援から就労支援を統合的に展開しているNPO法人アイ・キャンの4つの組織から構成されている.中核施設であるあさかホスピタルは495床からなり,標榜診療科は総合心療科(精神科・心療内科)・児童精神科・内科・小児科・神経内科・脳神経外科・放射線科・歯科・小児歯科・矯正歯科である.精神病棟入院基本料15対1, 看護補助30対1の病床基準で,精神科救急病棟1,精神療養病棟,認知症治療病棟1,特殊疾患病棟2, 精神科作業療法,精神科デイケア(大規模),精神科ショートケア(大規模),精神科ナイトケア,精神科デイナイトケア,重度認知症患者デイケアなど,急性期から回復期,慢性期まで含めた総合的な精神医療を行っている.また,法人内にはさくまメンタルクリニックもあり,あさかホスピタルと連動して地域精神医療を支えている.こうした幅広い地域精神保健医療活動を支えている理念は,Ian R.H. Falloon医師の提唱した「統合型地域精神科治療プログラム(Optimal Treatment Project:OTP)である.同法人ではこの理念に基づき,多職種からなる支援チームが病院の内外で認知行動療法アプローチにより,各患者の医学的・社会的問題の解決のために協同している(図1).
2014(平成26)年11月に出されたOECDの医療の質に関する提言書は,わが国の精神科医療について質の改善と社会復帰対策のさらなる努力を求めている2).特に,長い入院期間と社会復帰のための支援が十分でないことが問題であるとされている.ただし,わが国の精神科入院医療については先進諸国の定義に従えば中間施設的なものもかなり含まれており,単純に在院日数の長短を比較することは妥当ではないだろう.もちろん,中間施設的なサービスが入院の枠組みにある現状は改善されなければならず,そのためにはそうした社会参加のための施設・サービスを充実させなければならない.
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