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■病院の概要1)
現在策定が進んでいる地域医療構想では病床を高度急性期,急性期,回復期,慢性期に区分し,各地域の傷病構造に合わせてその適切な配分を実現することを求めている.推計に当たっては傷病ごとの機能別病床数を積み上げる形で計算を行っているが,調整会議における実際の議論ではこの点に関して必ずしも十分な検討が行われているわけではない.高度急性期,急性期については,むしろ,総合的な診療を行う大規模病院が議論の中心になっている場合も少なくない.しかしながら,わが国には特定領域の高度医療を提供する専門病院が多数存在している.先進的な専門病院がこれからの医療環境の中でどのような戦略で経営を行っていこうと考えているのかを知ることは,他の多くの専門病院にとっても参考になると思われる.そこで今回は,図1に示したように広島市で整形外科領域の専門病院として卓越した業績を上げている医療法人社団おると会浜脇整形外科グループを取り上げる.
浜脇整形外科グループは脊椎・脊髄外科,関節外科,外傷外科を三本柱としながら,さらにスポーツ整形,リウマチ,整形外科領域のリハビリテーションというように総合的な整形外科診療を行っている.病診分離を基本とし,入院と救急外来患者は「浜脇整形外科病院」,一般外来患者および術後患者は「浜脇整形外科リハビリセンター」という形の診療体系となっている.中核である浜脇整形外科病院は12名の整形外科医,4名の麻酔科医,1名の内科医(合併症対応)で,年間延べ52,832名の入院と1,778件の手術をこなしている.表1からもわかるように脊椎,関節,外傷が主診療領域であり,患者も広島県内だけでなく西日本全般から集まっている.
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