特集 診療管理
病院におる麻酔科のあり方
山下 九三夫
1
1国立東京第一病院麻酔科
pp.45-50
発行日 1963年2月1日
Published Date 1963/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202056
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はじめに
わが国に於ては麻酔科が10年前東京大学に設置せられてから,現在迄に九大学(東北大,京都大,慶応大,札幌医大,北大,岩手大,順天堂大,日本医大,九大)に完全講座が設けられ,近く他の諸大学に於ても次第に認められるようになり,一部では麻酔科外来や病床も設けられている。これに伴い各病院に於ても麻酔科が独立設置される傾向にあるが,その意義やあり方については,各病院各様で,麻酔に専従する医師が指導実施するところもあれば,外科や整形外科,歯科医時には看護婦が実際に当たる病院もあり,雑然混然としてその担当者は責任と労働の過重に苦慮している現況である。一方昭和35年3月14日より麻酔科標榜医制度が実施せられ,厚生省に於ける麻酔科標榜審査委員会の審査と医道審議会の決裁を経て附1の如き基準で麻酔科標榜を認可された者は全国で凡そ517名(昭和37年11月現在)に近くなり,これとは別に麻酔指導医制度(附2)が麻酔学会の手で実施せられ,麻酔科標榜医の指導育成にあたるべき指導医の認可試験を昭和38年2月より実施しようとしている。このように麻酔科に関する制度的方面は着々として進んで来ているが,これらの制度と現況とを併せ考え「病院に於ける麻酔科のあり方」はいかにあるべきかという問題を各大学麻酔科教授や斯界先輩各氏の意見をアンケート式に求めたものをも参考にして概観したのがこの小論である。
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