連載 事例から探る地域医療再生のカギ・9
小樽市立病院の医療再生
伊関 友伸
1
1城西大学経営学部マネジメント総合学科
pp.361-367
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210098
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■何が問題だったのか
①衰退する港湾都市
北海道小樽市は,明治期から小樽港が貿易港として樺太やロシアとの交易,道内で産出された石炭の積み出しなどで栄え,かつては「北のウォール街」とも呼ばれた.札幌市内から快速電車で約40分の位置にあり,ベッドタウンとしての顔を持つとともに,小樽運河など歴史的建造物を資源とした観光都市でもある.
港湾都市として栄えた小樽市であるが,海外交易や石炭産業が衰退した上,都市の再興を目指した旧マイカル誘致などのバブル期の過大投資は,その崩壊により市や地元企業に大きな負債を残した.都市の衰退による人口減少は著しく,昭和30年代には20万人を数えた人口は約12万人まで減少し,2010年4月には総務省の過疎地域の指定を受けるに至る.
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