連載 医療の可視化と病院経営・3
わが国の医療情報の可視化の現状と課題(2)—患者数推計ツールの紹介
松田 晋哉
1
1産業医科大学医学部公衆衛生学教室
pp.220-225
発行日 2015年3月1日
Published Date 2015/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209816
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■「現実的」なあるべき論のために
平成27(2015)年4月から各都道府県で開始される地域医療構想の策定作業においては,厚生労働省から提供される種々のデータを用いて各地域の医療提供体制のあるべき姿が検討され,機能別病床数や機能分化・連携の具体的な事項が議論されることになる.
これまでの医療計画策定作業と異なり,各病院から提出された病床機能報告制度の結果も用いられることになる.病床機能報告制度のデータは,例えば表1のように整理することが可能である.機能別病床の分布,各機能別病床100床当たりの該当医療件数,人口1万人当たりの機能別病床数などが,医療圏・都道府県・全国の各レベルで比較できる仕様となる.さらに本連載第2回で紹介したように,今後厚労省医政局から各地域別の機能別病床数の参照値が提示され,さらにデータブックという形でDPCおよびNDBなどから作成された医療の現状に関する指標群が地域単位で提供される1).加えて,筆者らの研究班が作成している傷病構造の将来推計ツールが提供されることになる.各地域で設定される地域医療構想調整会議(協議の場)ではこうしたデータやツールを基にあるべき医療提供体制を議論することになる.図1はこの検討過程のイメージを図示したものである.
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