特集 病院の福利厚生
税制から見た福利厚生
石井 孝宜
1
Takayoshi ISHII
1
1森公認会計士共同事務所
pp.615-618
発行日 1989年7月1日
Published Date 1989/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209607
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
給与と福利厚生
病院は経常的に患者を収容する医療施設であり,患者に対して良質な人的サービスを提供することが不可欠な事業体であるため,一般に全収入の50%程度を人件費として支出しています.病院が支出する人件費の内容としては,①毎月支払われる給与,②通常,年2回程度支給される賞与,③退職時に支給される退職金,④社会保険料・雇用保険料の事業主負担分として支出される法定福利費,⑤病院職員の福利厚生を高めるために支出される諸費用,に大別されます.
昭和50年代初頭から実施された医療費抑制策により,この10年間の病院経営は,悪化の一途をたどっているという医療界における時代的背景を考慮した場合,好景気をテコに給与ベースおよび福利厚生事業の内容充実をはかっている大手一般企業と同様の雇用改善を実施することは極めて難しい状況にあるという判断が医療界における一般的見解であると考えられます.しかしながら,昭和60年の医療法改正により全国の病院は"駆け込み増床"に走り,昨年あたりから看護婦を中心とする医療技術者の不足が表面化したため,一部地域においては医療機関同士の求人合戦が起こっており,給与の増額・福利厚生上の優遇を売り物として病院職員の増員を行わざるを得ない環境となっています.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.