特集 病院の福利厚生
病院の福利厚生はこれでいいのか
高木 紹夫
1
,
上林 三郎
2
,
西中 正久
3,4,5
Tsuguo TAKAKI
1
,
Saburo KANBAYASHI
2
,
Masahisa NISHINAKA
3,4,5
1深谷赤十字病院
2聖路加国際病院
3全国病院労務管理学会
4全国病院労務管理学会事務局
5東京都病院協会
pp.581-588
発行日 1989年7月1日
Published Date 1989/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209601
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
◆院長の立場から
医療に必須の"豊かな心"を育むために,病院福利厚生の充実を
はじめに
福利厚生に関しては,日本赤十字社の場合,本社には本社なりの計画があり,内容は豊富であるが,職員数4万5,000名を擁する事業体の福利厚生事業としては必ずしも満足のいくものではなく,大企業に比べれば足もとにも及ばないというのが実情であろう.その原因は,要するに財源が少ないためであり,もう一つは,職員にいかに心豊かな生活を提供すべきかという熱意が組織的に欠如しているためであろう.したがって,病院における福利厚生に関しては,各病院がその個性に応じて企画し実施しているのが実情であろう.
筆者は当地(埼玉県深谷市)の保健所運営委員をしているが,毎年報告される福利厚生面の事業内容はまことに立派なものである.しかし,一つの事業計画に予算10万円などというものもあり,ほとんど活動不能に近い.それでも計画は実施されたものとして年度が終わっていく.要するに,事業計画は単に見られるための計画となっているのである.忌憚なく言えば,日本赤十字社本社の事業計画にしても,努力はするものの,やはり夢を描いたもので,目標点は遙か彼方にある感じである.これは現状ではいかんともしがたいものであろう.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.