特集 施設老人ケア
老人ケア施設の建築と設備
河口 豊
1
Yutaka KAWAGUCHI
1
1厚生省病院管理研究所建築設備部
pp.314-317
発行日 1989年4月1日
Published Date 1989/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209534
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施設の役割
種々ある老人ケア施設は各々の目的が異なるので,それぞれに必要な建築的構成は変わる.しかし,居住性と医療および介護の必要性については,対象が老人であるがゆえに共通する.その意味で,老人ケア施設の在り方として,居住施設にも医療や介護面が加えられ,医療や介護施設においても居住性が吟味されなければならないという問題が改めて問われている.
病院の場合,患者は診断・治療を目的として入院するのであり,退院後の生活設計を描きながら入院生活を送っている.逆に言えば,病院は患者の入院生活は引き受けるが,患者の一生の生活を引き受けるわけではなく,そのための生活空間にはあまり配慮していない.ただ,老人病院の中には慢性疾患の治療ということで,長期在院がほとんど一生涯続く例が少なからずある.こうなると病院本来の機能にはそぐわなくなる一方,ケア施設としての空間にも対応していないことになる.
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