--------------------
ヨーロツパの病院の建築設備
桜井 省吾
1,2
1桜井建築設備研究所
2芝浦工業大学
pp.431-439
発行日 1958年5月1日
Published Date 1958/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201364
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.概説
本稿で述べようとするヨーロツパの病院は主として,スイス,英,仏,独,スウエーデンおよびベルギーなどの北欧におけるものについてである。一般に最近の建築は,外観をできるだけ簡素にして,屋内の仕上げを入念に行う傾向にあるが,病院建築もその例に漏れない。ことに(1)音(ノイズおよびサウンドの問題),(2)色調および(3)感触という3つの条件を満足せしめて,使いよい,しかも建設費の低廉を計ることに留意しているようだ。同時に,建築設備を完備して,病院の運営を円滑に,かつ経常費の節減を工夫して,最良で経済的な病院を造ることに大きい関心が払われている。
音の問題は,窓ガラスを二重張りとし,壁ならびに天井には吸音材料を取付け,廊下にゴム・タイル,階段に部厚なスポンヂ・ラバーを貼るなどして解決を計つている。色調は,各室毎にあるいは廊下などに行い,かつ室の色彩に適合する色合の器物を配するなど種々と工夫している。欧州の建築物の色彩は,一般にニユートラルのものが多いと云われているが,最近は原色の強い色も屡々用いられている。これは,アメリカ建築の影響の一つとみるべきであろうか。
Copyright © 1958, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.