検証・日本医療の論点
わが国病院の平均在院日数はなぜ長いのか—病院在院日数国際格差の決定因子の実証的研究
二木 立
1
Ryu NIKI
1
1日本福祉大学・社会福祉学部
pp.60-66
発行日 1989年1月1日
Published Date 1989/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209471
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●はじめに
一昨年(1987年)6月に発表された厚生省国民医療総合対策本部「中間報告」を契機として,わが国病院の平均在院日数の長さが改めて注目されている.「中間報告」では「諸外国と比べてわが国(病院)の入院日数は著しく長い」ことに注目し,それが医療費増加の主因になっているという視点から,「長期入院の是正」のための「具体的な方策」を示している.
筆者も,わが国の一般病院の医療技術・サービスの質を向上させるためには平均在院日数の短縮=不必要な「長期入院の是正」が必要であると考えている.しかし,それを個別の病院の努力や厚生省による規制のみによって実現することは不可能であり,わが国の病院の平均在院日数を著しく長くしている三つの歴史的・社会的要因*にメスを入れる必要があるとも考えている.この点についての日米比較は別に発表した1).
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