特集 病院の選び方
のぞましい救急病院の条件
宇山 理雄
1
1京都第二赤十字病院救急分院
pp.18-22
発行日 1970年7月10日
Published Date 1970/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204713
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救急患者の搬送
救急医療は救急患者の搬送と医療の2つに大別することが出来る。搬送は消防署の運営する救急車による搬送と自由意思による搬送の2つが考えられるが,前者は救急患者全体の30%前後を占めており,この救急車による搬送の場合は患者に救急病院を選ぶ自由がないかあるいは救急病院を選択する能力を失っている場合が多い。消防署の救急車は患者を収容した地点から最も近い救急病院へ患者を運ぶいわゆる直近搬送を原則としているので患者または周囲の人が特定の病院へ運ぶ事を依頼しない限り最寄りの病院へ患者を搬送する。かりに患者が特定の病院へ行く事を希望しても,患者の病状がそれを許さないと判断した時や,交通事情で不可能な場合は患者の希望が叶えられな事もありうる。したがって救急病院を自由に選ぶ事が出来るのは救急車以外の車輛を利用する場合に比較的限定されて来ると考えてよい。
さて救急患者が自分の周囲に発生した場合を仮定して医師でない素人が病状を判定して,その病状に適合した救急病院を選ぶ事が果して可能であろうか。その目的を果すためにはまず病状を知る事が必要であり,更に搬入すべき救急病院の設備内容まで知らなければならない。その様な事は不可能に近いのであって,救急患者の場合は救急病院を選んでいる余裕はないが普通であり,取りあえず最寄りの救急病院へ送るのが原則ではないだろうか。
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