特集 わが病院のめざすもの—新・改築時の理念と実際
松江記念病院—120床
杉原 徹彦
1
Tetsuhiko SUGIHARA
1
1松江記念病院
pp.1042-1043
発行日 1988年12月1日
Published Date 1988/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209442
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開院の背景
今医療の世界は"冬の時代の到来"といわれている.この厳しい時代に病院をつくり開業したのかと友人から笑われもしたが,私が医者になった当時の夢でもあり,決断実行することにした.もともと医者の家に生まれたわけでもなく,田舎寺院住職の長男として生を受け,子供心にも将来は何を学び社会に役立つ人間になればいいのかと自問自答することが多かった.たまたま高校3年生になったとき郷里の開業医が亡くなられ無医村となったため,父親の強いすすめもあり医学部に進路変更をせざるを得なくなり,鳥取大学医学部から大学院に学び卒業後1年後に松江市立病院に就職した.ここで23年間内科(主に消化器内科),それに臨床検査部長,薬局長代行をそれぞれ10年間勉強させてもらって,今回の新築開院に大いに役立ったと思う.神の思召しといおうか,運が良いといおうか,とても感謝している.
このような"冬の時代"といわれる中にあっても,今日の日本社会を見たとき医療分野はいろいろな意味で素晴らしい可能性に満ちた事業分野だというのが,実は客観的な分析ではないだろうか.それが現在,可能性であって現実となっていない理由として,経営の近代化の遅れがあると思わざるを得ない.
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