特集 わが病院のめざすもの—新・改築時の理念と実際
日鋼記念病院—536床
西村 昭男
1
Akio NISHIMURA
1
1日鋼記念病院
pp.1012-1013
発行日 1988年12月1日
Published Date 1988/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209427
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増改築の契機と経緯
夢と現実の落差から
夢と現実の落差は世の常ではあるが,時にはその大きさが新たな発展を促す起爆剤となることがある.1978年8月1日に新しい病院長として全職員の前で就任の挨拶をしたが,初めて見る日本製鋼所病院の印象は,構造不況の工業都市という背景の暗さのためもあって,一言でいえば,まさに「野戦病院」のイメージであった.病院の建物は,昭和32年に木造から改築されたもので,創立68年という歴史からみても,また周辺の建物とのバランスからしても,必ずしも恥ずかしいものではなかった.
しかし,事務職員の工場スタイルのユニホームとか,外線電話は事務に1台だけなど,臨床面では負けない医療を目指して大学を飛び出してきた新院長の夢を打ち砕くのに時間はかからなかった.当時は会社の合理化計画の一つとして,病院の分離・独立の手続きが進んでいるなど,最悪の状況下にあり,改築提案など問題外であった.
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