特集 医療におけるテクノロジー・アセスメント
「科学」としての医学の基本—「医療におけるテクノロジー・アセスメント」第1回国際シンポジウムに参加して
矼 暎雄
1
Teruo ISHIBASHI
1
1佐久市立国保浅間総合病院
pp.674-675
発行日 1988年8月1日
Published Date 1988/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209346
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第1回国際シンポから
「医療におけるテクノロジー・アセスメント(MTA)」第1回国際シンポジウムが昭和63年1月31日,国立がんセンター内国際研究交流会館で開催された.なお前日には同会館で「医学判断学」国際ワークショップが行われた.医学判断学は,個別の患者の治療段階で臨床の知識を基に,治療の選択肢を疫学・確率理論を用いて判断するテクノロジーである.医療におけるテクノロジー・アセスメント(以下,MTAと略)—アセスメントは「環境アセスメント」などでなじみがあるが,訳語としては「事前評価」といわれている—は,この医学判断学をも含み,あらゆるテクノロジーの導入を医学的視点を基に,経済的,心理学的,倫理的側面より総合的に評価を行い,必要に応じ政策決定に反映させるというものである.
基調報告として吉田忠東北大文学部教授(MTA研究会代表)は,①高度に発達した医療技術を手術手技まで含めてシステムとしてどのように評価(アセスメント)するのか,②MTAの役割は合理的意志決定として納得のいく過程を明らかにする,③その有効なアプローチは定量化であり,そのために必要なことはデータの比較可能な等質性である,更に④重要なことは常に反省を迫るリフレクシブな要素があること,などを述べた.
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