医療におけるQOL 現代患者論序話・7(最終回)
物理的・身体的ファクターと患者のQOL
ニノミヤ アキイエ・ヘンリー
1
Akiie Henry NINOMIYA
1
1神戸聖隷福祉事業団
pp.603-607
発行日 1988年7月1日
Published Date 1988/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209330
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
冬の日本式家屋の室温はカナダの家と比べてたいへん寒い.在日外国人のパーティではどのようにして家を暖めるかが話題になる.古い洋式の家はセントラル・ヒーティングの設備が整っているが,円高と,石油代が高いため使用するわけにはいかない.1か月の石油代が20万円を十分に超過する.20年前1カナダドルは約400円であった.現在は100円前後である.つまり,世界経済的環境が我が家の室温を下げてしまっている.小さな石油ストーブはその部屋だけしか暖房できない.特に困るのはトイレである.夜中に寒いトイレへ行くのを我慢すれば,膀胱炎になるのではないかと心配するのは考え過ぎであろうか.
人間の身体的機能には環境適応能力がある.しかし,一定の範囲内の能力であって,急激で変化の幅の大きい環境変化にはうまく対応できず何らかの身体的変調,不調をもたらすことが多い.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.