特集 ニードの多様化と効率的薬剤部門
病院における薬剤部門のあり方—臨床薬学導入の試み
村田 正弘
1
Masahiro MURATA
1
1日本医科大学多摩永山病院薬剤科
pp.818-820
発行日 1987年10月1日
Published Date 1987/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209151
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■医療供給体制の変化と薬剤師職能
国民医療費の62年度推計が18兆円に達し,医療は技術,倫理に加えて,経済効率に当面の最大課題として挑戦しなければならない時代を迎えた.従来の病院がともすれば独自の方針で患者を集め,診療しその必要に応じて設備,機器,人員を調達,補充してきたやり方は,経済面からの締め付けと患者,国民自身の意識変化から根本的修正を迫られるであろう.事実,あえてこの動向を無視しても,病院の存続が危うくなる結果を招くだけである.
図1に示すように,医療供給体制が整備されていくならば,各医療機関もこれに対応して,地域性と各機関の潜在対応能力を考慮した合理化が求められ,組織と内容の整備をはからなければならない.もちろん,医療供給体制の整備は行政の責任であり,先に発表された厚生省国民医療総合対策本部の中間報告に関しても,特にその具体的な進め方に各方面の批判があることを承知しているが,国民医療を総括的に整備しなければならない状況にあることは否定できない.また同報告は地域住民の総合健康対策を進展させるための家庭医制度や在宅ケアの充実を提案しているが,薬剤師の立場からは健康相談の場としてホーム・ファーマシー構想をすでに提唱している1).
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