建築と設備 第10回
社会保険神戸中央病院
織田 哲
1
,
飯島 庸司
1
Satoshi ODA
1
,
Youji IIJIMA
1
1黒川紀章建築都市設計事務所
pp.153-158
発行日 1987年2月1日
Published Date 1987/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209006
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■生まれかわった病院
昭和61年4月,新しい病院の診療が始まった.六甲山地の4月はまだ風も冷たく,とりわけこの地一番の高台に建つ当院の周辺は,ニュータウンのゆえもあって幾分寒々とした風景であった.しかし,地域の期待を担い,病院にとっても38年目の再出発という思いが軽い興奮となり,院内に満ち溢れていた.
当院は昭和23年,当時の生田区(現在の中央区)中山手通に開院している.木造2階建5診療科,45床の規模である.33年には総合病院の承認を受け,38年に11診療科,402床の規模となって現在の基礎がほぼ固まった.こうした変遷が物語るように,当院の医療活動は確実な実績を残しつつ,地域と密着して発展を続けて来た.一方,建物の狭隘老朽化は著しく,数度の整備で敷地を一巡した回廊式の建物は,医療上,管理上,何かと不都合を生じていたが,現地での再整備は法的制約から,規模的に無理と判断され移転の方向で検討が進められてきた.移転新築は当院のこうした状況と神戸市の医療行政がうまく噛み合った結果であり,単なる再整備というより,市の医療行政のネットワークに基づく新しい診療圏への移転として今後の活躍が注目される.
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