人
「一期一会」「一座建立」をモットーに活躍する若き院長公立湖北総合病院院長 馬場 道夫氏
大谷 藤郎
1,2
1元厚生省医務局
2現社会福祉医療事業団
pp.192
発行日 1985年3月1日
Published Date 1985/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208529
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琵琶湖の最北部,賤ケ岳・余呉湖,十一面観音・奥びわ湖など景勝旧跡の多い滋賀県伊香郡4町の組合立病院として,公立湖北総合病院がある.大正4年7月,益世済民の主旨により郡民各位の寄附を基に設立されたのが前身の伊香病院である.以来70年間,紆余曲折はあったが,滋賀県北部の医療の一端を担ってきた.その間昭和47年4月より6か月間医師総引揚げにより病院が閉鎖されるという最悪の事態があった.その後滋賀県及び地元の要請により,第10代の院長として着任したのが馬場道夫博士である.着任後,国・県・地元4町をはじめ関係各位の指導と援助もあり,地域の要望に応えるべく着々と病院の整備と拡張を行い医療レベルの向上に努め,早くから,僻地診療・訪問指導・健康教育などを行い,住民に密着した地域の包括医療を実践してきた.その後医療需要も増大し,昭和58年3月現在地に新築移転し,公立湖北総合病院と改称,現在に至っている.
馬場院長は茶道の極意である「一座建立」こそ地域医療のモットーであると言う.すなわち地域医療はそれに従事する人と患者のみでなく,地域全体の協調と連帯により成り立つものであり,医療に携わるものには「一期一会」の精神,心構えが必要であると主張する.医療を取り巻く環境はますます厳しい現況であるが,彼の地域医療にかける情熱と強力なリーダーシップにより,更に充実した地域包括医療が行われることを期待してやまない.
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