病院職員の基礎知識—病院運営マニュアル
すこやか相談
日下 隼人
1
,
畑尾 正彦
1
,
増子 ひさ江
1
,
緒方 廣市
1
Hayato KUSAKA
1
1武蔵野赤十字病院
pp.55
発行日 1985年1月1日
Published Date 1985/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208496
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すこやか相談の考え方
病院に働く人たちは医療というものをどうしても病院の中のことに限って考えてしまう傾向がある.マニュアルも,病院内の業務手順が円滑に進むための手引きと考えられがちである.そのため入院患者をどう扱うかという視点が優先していると思われるところが少なくない.しかし実際には,人は病院の中でだけ病むわけではないし,病むことと元気なこととの間にはっきりした線が引けるわけでもない.新しい病院が病気の人をその重症度に応じて病棟に預かるように計画した時,それは単に病院の中での病気の人の流れとして考えられたわけではない.マニュアルにおいても人をどう扱うかではなく,病む人をどうとらえるかということに力点が置かれている.
「重症で高度の医療を集中的に行うことで救命し得る人に対しては集中医療センターのごとく人員・機器の整備されたところでの集中的医療を,中等症の人や末期の人に対しては一般病棟でその人の個性を重視し,その人の心の支えとなる医療を,そして軽症の人・在宅医療の望ましい人・健康と思われる人に対しては外来やすこやか相談による援助,更には家庭医との協力というような形でその人の生活を踏まえる中で癒える医療を目指している.
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