病院職員の基礎知識 病院運営マニュアルの知識
搬送業務の実際
緒方 廣市
1
,
畑尾 正彦
1
,
日下 隼人
1
,
増子 ひさ江
1
Koichi OGATA
1
1武蔵野赤十字病院
pp.787
発行日 1984年9月1日
Published Date 1984/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208402
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当院の搬送設備
新病院建築に際し,搬送委員会において最大の焦点となったのが自動搬送設備導入の是非であった.近代化,機械化の進む病院建築,特に大病院では自動搬送設備が不可欠のごとく考えられており,委員会でもこれに乗り遅れまいとする気持ちと,反面,搬送の目的である必要な物を,必要な時に,必要な場所に,的確に届ける方法として現在の自動搬送設備機器が,唯一のそして最善の方法であると言いきれるのかどうかの疑問もあり,議論は白熱した.いずれにせよ一度原点に戻ることとして,院内の動く物品について,内容,量,質,大きさ,更に清潔,不潔等を逐一分析し基礎資料とした.これを手元に集めた機器の文献と照し合せた結果,大きさについて対応できる機器がないことが分かった.もちろん分散するとか,他の方法でカバーできなくもないが,頻度が増加するとか新たな問題が起きてくることも推測され,我々のニードに応え得る機器がすぐには見当たらないとの結論になった.
それでも,何らかの参考とすべく,委員会のメンバーが各班に分かれ,他病院を見学に行ったが,実際には,機器を十分使いきっていないことと,何よりも現場が自動搬送設備に対し強い不信感を持っていることが印象的であり,このことが委員会を従来から当院にあったメッセンジャー・システムを充実していくのが最善であるとの考え方に傾けていった大きな理由の一つとなった.
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