特集 病院における賃金と年金
これからの病院経営における賃金体系の見直し
楠田 丘
1
1日本賃金研究センター
pp.1010-1014
発行日 1999年11月1日
Published Date 1999/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902843
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病院の賃金体系をめぐる今日的課題
1.日本型人事・賃金システムの戦後の経過
世界の賃金には二つの種類がある.日本モデルと欧米モデルである.日本モデルは人の価値(能力)に視点を置くいわばヒューマンな成長主義賃金であるが,欧米の賃金は生み出された成果で決める賃金である.つまり前者が能力主義であり,後者が成果主義である.わが国では伝統的に人間の成長の側に視点を置いた能力主義人事,賃金が基調をなしてきた.
ところで,このような日本モデルは,戦後の最初の15年間は生活主義,そして続く15年間は年功主義をとってきた.生活主義とは年齢別生計費で決める賃金であり,年功主義とは,学歴や性別,勤続を能力の代理指標として,これらに準拠して決める賃金システムである.ところが昭和50年前後にいわゆる高度成長が終わり,ME革命が登場する中で,この年功主義は適応性を失って崩壊し,能力主義に転換をした.そして今日に至っている.
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